奏でる吐息  かなでるといき         甘々/18禁

*このお話は「奏でる想い」をご覧になってからお読みください*












ソファーに腰掛けながら背もたれを枕にした状態で、
香穂子は左手を天井に翳し、その指を見つめる。






薬指にはめられた指輪。

自分は紘人のものだ…とそう実感できて、とても幸せな気持ちになる。






「また見てるのか、お前さん」


指の隙間からこちらを見下ろす紘人の姿に、
香穂子は手を下ろし、にっこりと微笑む。


「いい加減に飽きないか?」


「飽きませんよ」


紘人が隣に腰掛けるのと同時に、ゆっくり体勢を整える香穂子。


その肩に寄りかかるように身体を預ける。


「私の隣は、金澤先生が予約してくれたんですよね?」


悪戯気に笑み、香穂子はその頬に口付けた。


同時に、その腕に抱き寄せられる。


その腕が暖かくて、幸せで、顔がほころんでしまう。


「…もういいだろ、それは」


照れたように顔を逸らす紘人。


この姿もしばらく見れなくなってしまうのかと思うと、少しだけ寂しくなる。






もうすぐ、紘人は渡米する。

壊れてしまったパーツを元に戻すために。

もう一度、歌手を目指すために。



だが、なぜか不思議と…前ほどの不安はなかった。

紘人の想いを知ったから。

遠い場所にいても、傍にいてくれる。

今は、本当にそう思えるから。






「…ね、先生」


「ん?」


吐息がかかるほどすぐ近くにある紘人の顔を、香穂子はじっと見つめる。






ずっと訊きたかったこと。

それは、この優しい空気を少し壊してしまうかもしれない。

でも、このまま何か引っかかった状態のままは嫌だから。






香穂子は、思い切って訊いてみる。


「…あの女(ひと)に逢いにいった理由って、なんですか?」


「あ〜…」


思ったとおり、紘人は困ったような顔で口篭る。


でも、どうしても訊いておきたいのだ。


香穂子は瞳を逸らさず、まっすぐと目の前の瞳を見つめる。


「…そういう話は、直接会ってからしましょうってさ」


「……」


「俺もそう思ったし、だがお前に心配かけるわけにもいかんし…」


どんな話を聴いても大丈夫…と思っていたが、やはりなんだか胸が苦しい。


そんな気持ちが顔に出てしまっていたのだろう。


紘人は優しく微笑みながら、香穂子の頭をそっと撫ぜた。


「ホントに、何もなかったからな。それに…」


「…?」


「…彼女、結婚するんだってさ。ヴァイオリニストと」


「え…?」


「俺の恋人もヴァイオリニストだって言ったら、そういう話で盛り上がってな。
お互いにずっとその話だ」


恋人…という響きに、なんだか頬が熱くなる。


「なんていうか…互いに惚気てただけだな」


「惚気って…先生が?」


「…俺だって惚気るさ」






   お前が好き過ぎて。






耳元に吐息を感じたかと思うと、次の瞬間には唇を塞がれた。


それは苦しいほどに激しくて、
離れたかと思うと、すぐにまた重ねられる。


熱い吐息を、感じる。


紘人の舌は口内をなぞり、そして香穂子の舌と絡まりあう。


それは今までにないほど激しくて、
段々と肌も熱を帯びていくのが解る。


「ふ…っぅ…ん…」


甘い吐息を漏らしながら口付けに酔いしれる香穂子の腰には、
その身体を支えるように紘人の腕が回され、そのままゆっくりと倒れこむ。


ようやく唇が解放されると、香穂子は大きく息を吐いた。


「大丈夫か?」


「はい…でも…」






    もっと、欲しいかも。






潤んだ瞳で、紅潮した頬で、
香穂子は悪戯気に笑みながら紘人の首筋にちゅ、と口づけた。


「…いつからそんな子になったんだ、お前さんは?」


「先生を…好きになってから、かな」


子供のわがままに困る親のような笑みを見せる紘人。


だが、それはとても余裕がある大人の瞳で。


「…全く…お前さんには敵わんよ」






ふわりと笑んで、
香穂子の白い首筋に顔を埋める。








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そっと、紘人の舌が開かれた腿の内側をなぞる。


熱くて、くすぐったくて、気持ちが良くて、香穂子の肩が震える。


「ひぁ…っ」


その舌が中心へと到達すると、香穂子は一層身体を震わせた。


蜜の溢れるそこに、ぬるりとした感触が訪れる。


ぐちゅり…と濡れた音を立てながら、
零さんばかりに紘人はその蜜を舌で絡めとる。


「あ…っ…せん、せ…っ」


その長い指は、香穂子の中へとすんなり進入する。


熱いその壁を蹂躙しながら、香穂子の感じる場所を攻め立て、
溢れ出す蜜を舌で舐め取っていく。


熱い芽をその舌でつつけば、とろりと甘い蜜が一層指に絡みつく。


「ゃ…ぁっ……ふぁ…っ」


「…すごいな、お前の中」


ぴちゃり、ぴちゃりと響く卑猥な音。


身体中の熱が全て下腹部に集まっている感覚がして、
頭が真っ白になる。


「も…っゃ…あっ! ん…っ!!」


びくっ 、びくっと香穂子が高みを迎えると、
秘部からはどろりとその証が溢れ出す。


紘人が指を引き抜くと、その雫は透明な糸を引いた。


その雫を舐め取る紘人の仕草がなんだか艶めいていて、
見ていて恥ずかしくなり、顔を逸らす。


「…なんか…ヤラシイ…」


肩で息をしながら漏らす言葉。


ギシ…と軋む音がして、香穂子の耳元に熱い吐息がかかる。


「お前さんも…充分、だろ?」


「そんなこと……っあ…んっ」


クスリと微笑んだ声が聞こえるのと同時に、
熱を帯びた高まりが、香穂子の中へと埋められた。


それはすでに苦しいほど質量を増していて、
とても熱く、香穂子の芯を焦がしていく。


「あ…っ、せん…せ…っ」


ぎゅっとその背に腕を回し、しがみつく。


何度も紘人を受け入れてきたそこは、離さんとばかりにその熱を締め付けた。


紘人は片足を抱えるように高く持ち上げ、
その熱さをじっくりと感じ取るように、焦らすように、
ゆっくりと、だが確実に香穂子の身体を熱くしていく。


「ひ…っぁ……っっあ…んっ」


「…香穂…」






耳朶に、首筋に、唇に。

紘人の優しい唇が触れる。

そのくせ、動きは段々と激しくなっていって。

動きとは裏腹なその優しい口付けが、更に香穂子の身体を熱くさせる。






「せん…せ…っ、あ…っ…あぁ…っ」


「…紘人、だ…」


「は…っぅ…あ…っ…紘人…さっ…ゃ…ぁっ」


何度も何度も打ち付けられるたびに拡張していく熱。


ぎりぎりまで拡張したそれは、
激しく、深く、奥へと打ちつけられる。


打ち付けられるたび、その存在を確認するように、
香穂子はその名を呼び続けた。


紘人はそれに応えるように、
耳元で熱い吐息と共に、腕の中の名を甘く囁く。






嬉しくて、愛おしくて、幸せで。

頭の中がぐちゃぐちゃになる。






「すごい、な…。こんなになってる…」


紘人はそっと、二人が繋がっている場所をなぞる様に指を這わせた。


香穂子の腿を、ソファーのカバーを、
合わさった二人の蜜が濡らしている。


「…もっと、俺に酔っちまえよ…」


その言葉と同時に、紘人の動きは、一層激しさを増した。


ギリギリまで引き抜き、
そして最奥を突くように、卑猥な音を立てながら香穂子を攻め立てる。


「や…っあ…ぁん…っっ」


急激に、熱い壁が狭まる。


「っぁ…紘人、さ…っ…」


もう近い限界に、香穂子はうわごとのようにその名を繰り返す。


それを促すように、紘人は最奥へと、激しく腰を打ち付ける。


「や…っぁ…も…だめ…っあ…あぁぁっ!」


香穂子は高い声と共に大きく身体を痙攣させ、熱い壁を締め付けた。


ぴくんぴくんと小刻みに震える香穂子の身体を抱き締めながら、
紘人も乱れた熱い吐息をその耳元へと吐きかける。


「…っ…香穂っ…」






とろりと新たな蜜が熱に絡まり、中が弛緩されると同時に、
紘人は自身を引き抜き、蜜に濡れた白い腿へと欲を放った。








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先ほどとは違う、新しいカバーに変えたソファーに、
紘人はどさりと腰掛ける。


普段着のジーンズに、上は胸の肌蹴たシャツ。


そこで、大きく溜め息をついた。






また、やってしまった。





教師ではなくなったとはいえ、まだ彼女は高校生で、未成年。

なのに、つい理性が吹き飛んでしまう。






姿を見ると抱き締めたくなって、

顔を見ると、キスしたくなる。

キスをしたらもっと触れたくなって、

全てを自分のものにしたくなる。






もうすぐ、自分はアメリカへと旅立つ。

もうすぐ逢えなくなると…そう思ったら、寂しい、と思ってしまった。

まるで子供のようだ。

感情が、抑えられなくなる。






「…先生?」


香穂子は湯上がりで上気した顔で、紘人を見つめる。


「おう、上がったか」


ふわりと微笑み、その膝へと香穂子を招く。


嬉しそうに香穂子がすとんと膝の上に座ると、
紘人はその身体を腕の中へと閉じ込めた。


その長い髪はまだ少し濡れていて、シャンプーの香りがする。


「どうかしたんですか?」


「…香穂子」


不意に名を呼ばれ、香穂子の胸がトクンと高鳴る。


「あの…」






    愛してる。






静かに紡いで、紘人はそっとその唇を塞いだ。


静かに、甘く重なり、唇が離される。


すると、目の前の顔は、今までにないほどに赤く染まっていた。


「香穂?」


「それ…反則、ですよ…」


少し泣き出してしまいそうな顔で、香穂子は真っ赤な頬を膨らませる。


その姿がまた愛おしくて、紘人は笑みを浮かべた。


「もう…」


「ほら、膨れてないで早く帰り支度しろよ。
そうでないと…」






    お前を帰せなくなる。






もう一度赤くなったその頬に、
紘人は優しくキスの雨を降らせた。



















ひぃぃぃぃぃl〜!!
私的にありえないほどに甘くしたのですが…!!いかがでしたでしょうか!?
しかも、18禁ですよ!!
甘くエロくを目指しました!!

「奏でる想い」と連動させまして、彼女の楽屋で金やんが何をしていたかってのを明確にしたくてですね。
その彼女がヴァイオリニストと結婚するとか勝手に捏造しやがりながら書いてみました(笑)
そういった情報は全くありません(笑)
ただ単に、彼女に金やんが惚気てる設定にしたかっただけなのです(笑)

微妙なエロさと甘さを感じていただけたなら幸いw



















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