この手を離さない  このてをはなさない












何度繰り返しても、変えることのできなかった運命。

私は…何度、貴方のいない運命に辿りつけばいいの?






「お前は綺麗な女だ。誰より生に貪欲で…それゆえに美しい…」






冷たい海に沈んだ、貴方の身体。






「じゃあ、な…」






守ることのできなかった、ぬくもり。






「共にひとさし…舞わせていただこうか」






守りたかった、ぬくもり。

私は、貴方を求めて…何度も手を延ばした。















「知盛…っ」

気づくと、目の前には鋭い眼差しで私をじっと見つめる顔があった。






夢。






もう、何度この夢を見たのだろう。

私は、貴方を求めて…何度も時空を巡った。






「クッ…俺の夢を見ていたのか?」






巡り、求めたぬくもり。

私は…やっと手に入れた。






「夢を見るほど…俺を求めているのか?」






貴方の熱が欲しい。

貴方の声が欲しい。

貴方の…全てが欲しい。






「…欲しいよ。知盛…」


私は、微かに震える手でそっと知盛の手に触れる。


何度肌を合わせても、不安になる。


このぬくもりを…失うのが怖い。


そんな私の不安を掻き消すように、知盛の腕が震える私の身体を包み込んだ。


力強く、けれどもどこか優しい胸。


知盛の鼓動が伝わってくる。


「俺は…お前を手離す気はないぜ?」


耳元で囁く、甘い声。






知盛は…ここにいる。私の傍にいる。






「私も…離す気はないよ」


やっと手に入れた、知盛との未来。








重なる吐息。

感じるぬくもり。






もう、二度と失いたくないから…私は誓うよ。

その手を…二度と離さない。




















↑お気に召しましたら、
ポチっとお願いしますv