修羅  しゅら












「この時空では、あなたはまだ生きてる…」






熊野で初めて出逢ったあの日、お前は瞳に涙を溜めてそう言った。



源氏の神子。



噂では聞いていたが…想像とは全く違い、剣を持たぬお前は只の女だった。

敵であるとわかっていて俺に屈託のない笑顔を見せ、よく表情を変える。

だが、怨霊を前にすると…その新緑色の瞳から強さが溢れ出る。

お前の剣は、まるで舞の様に美しい。

いつか剣を交えたいと…そう思った。







「どうしても…戦わなくていけないの…?」


ようやく始められた宴の席で、お前は呟いた。






平家は…敗北する。







そのようなこと、俺には関係のないことだ。


俺の望みは、ただ剣を振るう事。


それ以外に何も望みはしない。


戦いこそが宴なのだ。


「…わかった、戦おう。負ける気はないよ…」


剣を手にしたお前は、獲物を捉えた獣のような瞳で俺を見据えた。






これが、俺の望み。






「…来いよ」






力強く、美しいお前の剣舞。

俺とお前が作り上げる、修羅の宴。






「知盛…っ」


お前の瞳から零れ落ちる雫。


その姿も…美しい。


「生きて、知盛…っ」






まだ、俺の生を望もうというのか。

どこまでも貪欲な女だ。






「最高の…宴だった…」






修羅の宴で咲き誇った赤芥子。

宴が終わった今、そのために開いた花は散るべきであろう。






花は咲くも散るも誇らしくあるもの。

俺も…誇らしく散ることにしよう。








お前の剣を、この身に焼き付けたまま。

















知盛のキャラクターソング【修羅よ赤芥子の宴となれ】を聞いて思いついた…というか、書きたくなったものです。
知望というよりは独白っぽいですが…(汗)
CD発売前にサビだけ聞いて書いたものなので、何かおかしくてもご容赦くださいませ。





















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