未来へ  あしたへ         *望美独白?*












いつからなのだろう。

気付けば、彼を目で追っていた。



どこか寂しい目をした人。

全てを一人で背負い、独りで散っていった人。



どうしても失いたくないと…そう思った。

だから、望美は時空を超えたのだ。

彼との未来を求めて。








「私は、あなたとの未来が欲しいんです」


紫紺の瞳を捕らえ、望美は言葉を紡ぐ。


望美の気持ちに気付いていたのか、
それともただ冷静なだけなのか。


泰衡は動じた様子もなく、ただ視線だけを送っている。


「あなたが何を思っているのか、それはわかっているつもりです。
だけど…」








私は、もうあなたを失いたくないから。








もう、あんな思いは二度としたくない。

大切な人を失うことはしたくない。








「…貴女が何を知っているのかはわからん。
だが…俺は、己が決めた道を変えるつもりはない」


しばらくの沈黙の後、紡がれた言葉。


やはり泰衡は泰衡だということに望美はどこか安堵しつつ、
また前の運命を繰り返してしまうのではないかと…そんな不安を抱く。


けれど。


今は泰衡が何を思い、何をしようとしているのかを知っている。


きっと違う未来も選び取れるはずだ。


「それでも、私は…あなたを独りにはしたくないんです」


泰衡は踝を返しその場を去ろうとするが、
望美の言葉にふと足を止める。


「あなたと一緒に、生きていきたいから…」








心からの想い。

それを泰衡が受け入れてくれるかはわからない。

けれど、ありったけの想いをぶつける。








ほんの一瞬。


泰衡の口角が上がったように見えた。


だが、やはり気付けばいつもの泰衡で。


「…行くぞ。そろそろ戻らねば、八葉が貴女を心配するだろう」


そういって踝を返す泰衡。


けれど、どこかその背中はいつもと違う。








遠かった背中。

けれど、今は少しだけ近く感じる。

今までどこか拒んでいたものがなくなったような、
そんな感じがするのだ。



それは、気のせいなのかもしれない。

けれど、拒絶はされなかった。

今は、それだけで十分だった。








平和な未来(あした)を求め、歩み続ける泰衡。

それが果てしない道だったとしても、
共に行きたい。



共に生きられる、未来(あした)を求めて。























BGMは「運命の舟に乗りて」です☆
なんだろう…原点回帰?(笑)
この歌は、泰衡の根本を歌ってるかな〜と。
聴きながら浮かべたのは、独り行く泰衡の背中を追いかける望美…みたいなね。

甘くはないけど、この先の未来を見据える感じを書きたかったのです。

























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