雷鳴り  かんなり












「う〜…」


布団にくるまり、望美は灯りの下で一人目を瞑っていた。






真っ暗な空からはすごい雨。


おまけに大嫌いな雷まですごい音を響かせている。


なのに、泰衡はいない。


すごく寂しくて、心細くて     怖い。






「わ…っ!」


またぴかっと雷が光って辺りを照らし、望美は声を上げた。


「…やすひらさん…」


体育座りになり、必死に耐える。


泰衡はいないし、怖くて眠るに眠れない。


思わず、泣きそうになってしまう。






再び雷が光った瞬間だった。






「〜〜〜〜〜っ!?」


光に人影が映り、望美は声にもならない悲鳴を上げた。


怖くて仕方がなくて、その瞳からは涙がぽろぽろ零れ落ちる。


「…泣いているのか?」


ふわりと頭に優しい温もりが置かれ、望美はそっと顔を上げる。


「やす、ひらさん…?」


「震えているな。何か…」


「泰衡さんっ!!」


泰衡の言葉が最後まで紡がれる前に、望美はその身体に抱きついた。


少し濡れているその身体はとても暖かくて、安心する。


そっと、その腕に包まれる。


「望美…?」


「か……」


「…?」


「雷が…」


「…何だそんなことか」


呆れたように洩れるため息。


望美はその顔を見上げ、頬を膨らませる。


「そんなことじゃないですっ! ホントに怖かったんだから…っ」


望美の腕に力がこもる。


「…泰衡さんはいないし、暗いし、雷は怖いし…」


ホントに怖かったの…とぽろぽろ零れる涙に、
泰衡は小さく溜め息をつきながらも、そっとその頬に触れた。


「…今はどうなんだ?」


「今は…平気です。…泰衡さんが帰ってきてくれたから」


にっこりと微笑む望美の唇に、暖かいものが触れた。






怖かった気持ちも、この口付けが癒してくれる。






唇が離れると、望美は嬉しそうに笑みを浮かべた。


「…本当に単純な方だ」


「単純でいいです。だって、本当に怖くなくなったから…」


もう一度にっこりと笑み、望美はその胸に顔を埋めた。


「…泰衡さん」


「何だ?」


ぎゅっとその背に腕を回す。






      お帰りなさい。

















結婚後の設定ですよー(笑)泰衡さんはお忙しそうですね〜。うん。
でも、甘めにはなったんではないかとv














↑お気に召しましたら、
ポチっとお願いしますv