杯 さかずき 若干ギャグっぽいかも??
「…それで、なぜこのような状況になっている?」
大きく溜息をつきながら、
泰衡は目の前で顔を紅潮させながらすやすや眠る少女を見下ろした。
「あ〜…いや、酒を少々…な?」
「だから止めて下さいっていったんですよ!」
気まずそうな有川兄弟をよそに、泰衡は再び大きく溜息をつく。
「…神子殿。そろそろ起きられよ」
低く投げかけるような泰衡の言葉。
それでも、望美に起きる気配はない。
「神子殿」
「ん〜…」
ころんと寝返りを打ち、望美はもう一度寝息を立てる。
「…だめだな、こりゃ。こうなったらなかなか起きないぜ、こいつは」
張本人がどの口で言うのか、と思いつつ、
泰衡はもう一度大きな溜息をつくと、望美の身体を抱き抱えた。
「…これはもらっていく」
「あ…ああ」
ぽかんとした様子の有川兄弟には目もくれず、
泰衡は望美を抱えたまますたすたとその場を後にした。
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部屋に戻り横に寝かせたものの、この少女には起きる気配が全くない。
「全く…」
そっと、その前髪を撫でる。
いつものように執務に追われ、
だがそれでも…少しでも早く望美に逢う為に急いだつもりだった。
どんなに遅くなったとしても、
この少女が帰りを待っていてくれると知っているから。
思いのほか遅くなってしまったのは確かだが、
まさかこうして酔いつぶれて眠ってしまっているとは思いもしなかった。
他の男と共に。
例え望美にとって大切な仲間であったとしても、男には変わりないのだ。
泰衡としても、面白いことではない。
泰衡はその首元に唇を寄せ、
紅潮した肌をきつく吸い上げて痕を残す。
「ん…」
多少の身じろぎはしたものの、望美は起きる気配が無い。
「……」
泰衡は諦めたように小さく溜息をつくと、
そっと望美の衣に手をかけた。
明日の朝、目覚めた望美はどんな顔をするのだろう。
そう思うと、思わず泰衡の口元が緩んだ。
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「う…ん…」
眩い朝日に、望美は目を覚ました。
頭がガンガンと痛む。
昨日の記憶が無い。
泰衡を待っている間、屋敷に将臣と譲がやってきて、
そこで将臣に勧められるまま酒を飲んだ…という所までの記憶はある。
が、その後の記憶がはっきりとしない。
「目が覚めたようだな」
「あれ…泰衡さん…?」
ゆっくりと身体を起こすと、身体を覆っていた衣がはらりと落ちた。
ひんやりとした空気が身体を包む。
「………っ!?」
そこでようやく自分の置かれて言う状況を把握し、
望美は慌てて衣を引き寄せて、己の身体を覆い隠した。
一糸纏わぬ己の身体。
しかも、胸元には紅い跡が散っていた。
隣には、添う様に横たわる泰衡の姿。
状況から推測するに、結論は一つしかないのだが。
全く、記憶にない。
「あの、これは一体…」
気まずさと恥ずかしさが入り混じる声。
すぐ隣の顔を覗き込むと、泰衡は含んだような笑みを見せた。
「…神子殿は、思いの外積極的な方だったのだな」
「〜〜〜〜〜っっ」
口端を上げる泰衡に、望美の顔が一気に熱くなった。
「覚えておられないのは残念だが…」
すっと、抱き寄せられる。
たまには、このような夜も悪くはない。
「…っ、泰衡さんっっっ!」
耳元で囁かれ、望美は再び頬を紅潮させた。
もう二度と酒など飲まないと心に固く誓った望美が
その夜の真実を知るのは、
もう少し後のお話。
結局嫉妬した泰衡さんが望美ちゃんに悪戯しちゃうお話でしたw
わかりにくいですが、ちょっと悪戯しただけで何もしてません(笑)
泰衡さんには寝ている望美ちゃんに最後まで事を進めるような悪趣味なことは出来ないと思います(笑)
ほら、なんだかんだすごく優しい人ですからねw
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