本音の本音  ほんねのほんね












「ホントに良かったの? ここまで送ってもらっちゃって…」


リブを見上げ、千尋は呟く。


「姫を無事お送りするのが私の役目ですから」


にっこりと、リブは微笑む。






月に照らされた道を、二人肩を並べて歩く。

それはとても心地よくて、幸せな時間。

あっという間に時間が経ってしまった。






「や、本当は私がもっと姫と一緒にいたかっただけなんですがね」


嬉しいようななんだか恥ずかしいような言葉をさらりと紡ぎながら、
リブは微笑む。


いつもリブには大人な余裕があって、なんだか少しだけ悔しくなる。






まだ、一緒にいたい。

離れたくない。

このまま、傍にいてほしい。

自分だけのリブでいてほしい。



とても子供っぽい束縛。

そんな事を思ってしまう自分が恥ずかしくて、千尋は思わず俯いた。






「姫?」


「…ううん。ありがとう、リブ。あなたも、帰りは気をつけてね?」


「はい」


ゆったりと流れる時間。


いつもならば、ここでリブは帰ってしまうのに。


訪れた沈黙に、千尋は思わず首を傾げる。


「リブ…? どうかしたの?」


「や、その…」


どこか困った様子のリブ。


千尋はますます不思議そうに、その顔を覗き込んだ。


「…すみません、姫」


「リブ?」


真剣な眼差しを向けるリブに、千尋はますます首を傾げる。


「…貴女は、この国にとって最も大切な存在。
私一人が貴女を独占することは許されない。
そして、私も皇に仕える身です。
この身も皇以外に独占されるようなことがあってはならないと…そう思っています」


「…うん、わかってる」


そんなまじめなリブだからこそ、千尋も彼を好きになった。


「そうはわかってはいるんですがね、どうも…私も我が侭になったようで」


「…? うん…?」






「貴女と別れるのが名残惜しくて、仕方ないんですよ」






さらりと、いつものように紡がれる言葉。


千尋は思わず頬を赤く染める。


「や、聞き流して頂いてもいいんですがね」






いつもと同じ笑顔。

いつもと同じ口調。

いつもと同じ帰り道。

全てがいつもと同じなのに、
開かれたその瞳だけがとても真剣で。






「聞き流すなんて、出来ないよ…」


嬉しくて泣き出してしまいそうなのを堪えながら、
千尋はリブの袖をぎゅっと握り締める。


「だって、私も…」






私も同じ気持ちだから。






そう呟くと同時に、千尋の身体はリブの暖かい腕に包まれた。


その腕はとても優しくて、暖かくて。


リブの吐息も、鼓動も、全てをこの身に感じられる。


「…ホントはね、いつも寂しかったんだ」


リブの胸に顔を埋め、呟く。


「ずっと一緒にいたくて…でも出来ないってわかってるから、切なくて…」


「姫…」


「リブを好きになってから、すごく我が侭になっちゃったみたい」


思わず、苦笑が零れる。






逢えない時も、いつもリブのことを考えていて。

こうして逢っている時は、リブのことしか考えられなくて。

別れる時は寂しくて仕方がない。

リブが好きで、好きで、好きで。

好きという気持ちが溢れて仕方ないのだ。






「我が侭で、構いませんよ」


耳元で甘く囁かれ、
耳にかかるリブの吐息に、千尋は思わず肩を震わせた。


「姫が私を想って、私の為に我が侭になって下さるなら」


「…子供っぽいって思わない?」


「思いません」


「…もっと我が侭になっても怒らない?」


「私の前だけで、と約束頂けるのなら」


「…リブも、もっともっと…我が侭になってくれる?」


「姫に…お許し頂けるなら」


「…それから…」


優しく微笑むリブを、千尋はそっと見上げる。






「二人の時は、名前で呼んでくれる?」






少しだけ震える声で紡ぐ言葉。


リブは一瞬戸惑いを見せたが、
すぐにいつものような…それ以上に優しい笑顔を見せた。






貴女がお望みであれば。






そんな言葉と共に落とされたのは、

甘くて優しい、とろける様な熱い口付け       

















はい、ここでは名前を呼びませんw(ォィ)それはまた別のお話ということでv
それにしてもリブはやっぱりたまらんですなv
声はチモなわけですが(笑)浜賢さんのリブはどんな感じなんでしょうかねw(CD未購入ときたw)
とまあ、こんなお話。甘めに仕上げてみました。
たまにはちょびっと子供なリブも良いのではないかとvv
いつか我が侭で小悪魔なリブも書いてみたいものですvv














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