お返し  おかえし












「う〜ん…」


千尋は難しそうな顔でじっとリブを見つめる。


そんな様子の千尋を、リブは暖かく微笑みながら見つめていた。


「どうかしましたか?」


「…お返しを考えてるの」


「はて? お返し…ですか」


茶を注ぎ終え、千尋の隣に腰掛けるリブ。


不思議そうな眼差しを向ける。


「そう、お返し。だって…」


いつも、リブには貰ってばかりだから。


その言葉を聴いて、リブは驚いたように目を開いた。


そんなリブの様子に、千尋は言葉を続ける。


「落ち込んでる時は元気をくれるし、
そうじゃない時だって…こんなに幸せをくれるの」


でも。


「私はリブに何もしてあげられてないなって…そう思って」


少しだけ肩を落とし、千尋はため息をつく。








いつだって大人なリブ。

こうしてたまに逢える時も、
こんなにも千尋を幸せにしてくれて…笑顔をくれて。



子供な自分は、リブのために何か出来ているのだろうか。



そんなことを、ふと思ってしまった。








ふいに気付くと、
リブは笑い出してしまいそうなのを我慢するような…そんな顔をしていて。


「酷いよ! 私は真剣に言って…っ」


ふわり。


千尋の身体はリブの温もりに包まれる。


「リ、リブ…っ」


「や、すみません。…姫があまりにも可愛らしいもので」


さらりと紡ぐリブの言葉が恥ずかしくて、頬が熱くなる。








「姫は、そのままでいいんですよ」








まっすぐに千尋を見つめる瞳。

こういう時だけしっかり瞳を見つめながら言うから、
なんだか恥ずかしくなってしまう。

その声もなんだかいつもよりも優しくて。








「そうやって私のことで悩まれる姿も、照れて赤くなる姿も、
私は好きです」


「リ…リブっ」


恥ずかしくて、頬が熱くて。


でもその言葉がすごく嬉しくて。


そっと、その頬にリブの手が触れる。


「熱い、ですね」


「…だって、リブが恥ずかしいこと言うから…」


子供のように少しだけ頬を膨らませる千尋に、
そっとリブの優しい口付けが落とされた。








暖かくて、優しい。

全てを包むようなリブの温もり。








「…姫が傍にいてくださるだけで良いんです。
姫の声を聴くだけで…こうしてお逢いできるだけで、充分なんです」


吐息と共に紡がれる言葉。


「だから、姫はそのままでいて下さい」


姫の幸せが私の幸せですから。


そう言って、リブはふわりと微笑む。


その言葉が嬉しくて…だが、なんだかこちらとしては複雑で。


「…もっと我が侭言ってくれてもいいのに」


「や、それはダメですよ」


「どうして?」


やんわりとした拒否の言葉に、千尋は口を尖らせる。


そんな千尋にリブはどこか照れたような…困ったような顔を見せ。


そして。








姫のお身体がいくつあっても足りませんから。








「それってどういう…っん」


言葉が最後まで紡がれる前に、その唇はリブの口付けによって塞がれた。


その口付けはとても永く、激しくて。








いつか、姫の全てを私に奪わせて頂けますか?








口付けが終わって紡がれたその言葉。


くったりとリブの腕の中で力を失った千尋には、
その言葉に返答する気力は残っていなかった。








そんな千尋を見て、

嬉しそうに笑みを浮かべるリブが

いたとかいないとか。

















まだ完全には手を出しませんよ〜(笑)
いつ18禁になるかと自分でヒヤヒヤです。
どんだけリブはいろんな意味で甘いんだ!(笑)
リブは絶対に千尋を甘やかしてそうです。アシュ同様。
好きになったらとことん甘やかしてる感じがしますね。
なので、うちのリブはかなりそんな感じですw














↑お気に召しましたら、ポチっとお願いしますv