贈り物  おくりもの












「本当に驚きました。
まさか、陛下自らいらっしゃるとは思いませんでしたので」


リブはこぽこぽとカップに茶を注ぎながら、ふわりと微笑む。


「今日は芦原千尋としてきたの。
リブに、どうしても言っておきたいことがあったから」


にっこりと微笑みながら見つめる千尋に、不思議そうにリブは首を傾げた。


「わからない?」


「や…全く見当がつきません」


リブは軽く眉間に皺を寄せながら、『う〜ん』と唸るように両腕を組む。


そんな様子がおかしくて、千尋は思わず笑みをこぼした。








人への気配りには人一倍敏感なのに、
自分のこととなるととても鈍感になる。

そんな所も、好きなのだ。








クスクスと笑みをこぼしながら、
千尋はリブの瞳をまっすぐに見つめる。








「お誕生日おめでとう、リブ」








千尋の言葉が理解できなかったのか、
一瞬だけリブの時間が止まったようにも見えた。


キョトンとした瞳を向けると、
何かを言いかけたように唇を開いたまま硬直している。


「どうしても、今日中に言いたかったの。
だって、リブがこの世に生を受けた…大切な日だから」


少しだけはにかんだように千尋は笑みを見せる。


すると。


リブは持っていたポットを静かに置くと、
顔を隠すように口に手を当ててふいとその顔を逸らした。


「リブ? どうかしたの?」


その耳がどこか赤くなっているようにも見えて。


千尋が不思議そうにその顔を覗き込もうとした瞬間だった。








ふわり。








その身体はふいにリブの腕の中へと包まれて。


千尋は思わず身を硬くした。


「リ…リブっ?」


「や、本当に…貴女には驚かされるばかりです」


ふわりと耳元にかかる吐息。


その温もりに、とくんと胸が高鳴る。


「…ありがとうございます、姫。
姫に祝って頂けて、こんなに嬉しいことはありません」


不意に見上げたその顔は、とても穏やかに…嬉しそうに微笑んでいて。


千尋もつられるように笑みを見せた。


「私には何も出来ないけど…リブを好きだっていう気持ちしかないけど、
でも…その気持ちだけは、誰にも負けない。
ずっと…ずっと、好きでいるから」


ふわりと微笑み、そっとその頬に口付けを落とす。








リブにとって素敵な1年になりますように。








そんな願いを込めながら、

千尋はふわりと微笑みを零した。

















2009年リブ生誕創作です!
のわりに、いきなり遅くなりました…!
なんといってもネオロマ15thの勢いで書き上げたので、何やらテンションもおかしげ…(笑)
てか、ただ単に照れたリブが書きたかったのですw














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