君の帰る場所  きみのかえるばしょ












「今日は有難うございました。本当に楽しかったです!」


アンジェリークはニッコリと暖かい微笑みを見せる。


「君が楽しんでくれたなら何よりだよ。少しは息抜きになったかな?」


「はい!」


再び向けられる笑顔。


ベルナールもつられて笑顔になる。






女王の卵。

普通の少女なのに、どうしてこの子なのだろうか      と、
ずっとそう思っていた。

だが今なら…とてもよくわかる。






ふわり…と、ベルナールはか細いその身体を抱き締める。


「ベ…ベルナールさんっ」


「…嫌、かな?」


「…嫌じゃ…ないです…」


頬を赤く染めながら、アンジェリークはその大きな腕にそっと自分の腕を回した。






暖かくて、柔らかくて、どこか甘い香りがして。






ベルナールは、腕の中の温もりを感じる。


自分の後を必死で追いかけていたあの幼い少女は、もうこんなに成長していた。






アンジェリークの放つ輝きは、周りの人をも照らす眩しい光。






もう自分だけのアンジェリークではない…とそう思ってはいても、
この温もりを失いたくはない。

この温もりを、ずっとこの腕の中だけに閉じ込めておきたい。

そう、思う。






「…君が、好きなんだ」


耳元で、そっと囁く。






少しだけ震える声で。

少しだけ震える腕で。






「アンジェ…君が好きなんだ」


再び、言の葉を繰り返す。






優しい、甘い笑顔で。






「あの…」


頬を赤らめ…だが真っ直ぐに、アンジェリークはベルナールを見つめる。






そして              






ふわりと愛らしい笑顔を見せた。


「私も…ベルナールさんが、好きです」


アンジェリークはぎゅっと腕に力を込める。


その言葉が嬉しくて、嬉しくて…どこかほっとした気持ちで、ベルナールは笑みを浮かべた。



「…ありがとう、アンジェ」






この華奢な背の大きな翼。

羽ばたいて、この腕から去ってしまわぬように。

飛び立って、遠くに行ってしまわぬように。

この腕に閉じ込める。






「ベルナールさん…?」


気付くと、アンジェリークが心配そうな顔で覗き込んでいた。


「うん…嬉しくて、感動してしまったみたいだ」


ニッコリと微笑み、そっとその腕を解く。


「…さあ、もう帰ろうか。あまり遅くなると、みんな心配するだろうしね」


そっと頭を撫でて背を向けると、『あ…』とアンジェリーク声が聞こえた。


何だろう…と再び振り返ると、アンジェリークは嬉しそうに空を見上げている。


よく見てみると、陽が落ちかけた空からはちらちらと雪が舞い落ちていた。






夕陽に照らされたアンジェリークが手で受け止める雪は、
まるで羽根のようで。

その姿が切なく…愛おしい。






いつものような微笑みを浮かべると、
ベルナールは己がしていたマフラーをアンジェリークの首にそっとかけた。


ふわりと、ベルナールの温もりがアンジェリークを包み込む。


「風邪を引くといけないからね」


「…ありがとうございます」







照れくさそうで…だが嬉しそうな笑顔。

この先も、ずっとこの笑顔が見れるように。






そっと、その唇に甘いキスを落とした。




















すみませ…!なんか収拾つかない終わりに…(死)
一番書きたかったのはですね、アンジェの首にマフラーを巻く兄さんなんですよ!
でも、なんか無理やり感漂って…(汗)
甘くないですよね〜。しかも切なめでもないかも…(汗)














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