12.愛し君へ     リズヴァーン独白かも?












「やっぱり、二人一緒の運命が一番でしょう?」






満面の笑みでお前は言う。






お前が生き延びる運命を探し、私は幾度も時空を旅した。

お前に助けられたあの日から、お前を救うためだけに生きてきた。

30年の月日を、そのためだけに費やした。



だが、待っていたのは必ずお前が消えてしまう運命。

何度も、冷たくなっていくお前をこの腕に抱きしめた。






そしてようやく巡った運命。






私の死で、お前が生き延びたという運命。

お前が生きている…それだけで、私は満足だった。

しかし。






「先生と私が一緒に生き延びる運命を探しましょう」






私のように時空を越え、お前は言った。



そして…手に入れた幸福。

愛しい者と過ごす時間はこんなに甘いものなのだと初めて知った。

前の心からの笑顔や温もり。

初めてのことばかりで戸惑う私に、
お前は「もっと欲を持っていいのだ」と言った。



もっとお前を求めていいのだと。

もっと…お前を愛していいのだと。



決して得られないと思っていた幸福が、今では日常になった。






「そろそろ時間かな?」


純白のドレスを身に纏ったお前は、ベールを靡かせながら振り返る。


「行きましょう、先生」


幸福に満ちた満面の笑顔で、お前は私に手を差し出す。






お前に助けられた時と同じように差し伸べられた手。

あの時は助けを求めようとこの手を取った。



だが、今は。






「望美…」


ふいに私が呟く。


『神子』ではなく名で呼ばれたからであろう、
お前は少し驚いたように新緑色のその瞳を私に向けた。


私はお前の瞳をまっすぐ見つめる。


こうして穏やかな気持ちになれるのも、お前が存在していてくれるからだろう。


自分へと差し出された幸福へと続く道をそっと握る。






その手から伝わる温もり。






私はやはり欲が深いようだ。

この手をずっと離したくはないと、そう思っている。

お前の言うとおり、二人共にいられる運命が一番だと…そう思う。






今まで言えなかった…言うことが許されないと思っていた言葉。

お前にこの言葉を告げられる日が来るとは、今まで思いもしなかった。






      愛している。






私が初めて口にする言葉を聞いたお前は、涙を滲ませながら満面の笑みを見せた。


心の底から、愛しいとそう思う。






お前が変えてくれた運命。

共に過ごし、共に年老いていける幸福。



これから、またどれほどの幸福をもらうのだろう。

どれほどの笑顔を見ることができるのだろう。





愛しい…私の運命           


















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