16.「おはよう」 敦盛×望美 /甘々
眩い光に包まれ、敦盛は目を覚ました。
横では、望美がすぅすぅと幸せそうに寝息を立てている。
敦盛が望美の世界にやってきてから、初めて迎える朝。
こんなに穏やかな気持ちで朝を迎えられたのは初めてだ。
忌々しい怨霊であるこの身を、愛しいと言ってくれた。
子供のように無邪気で、心優しく…強さを持った女(ひと)。
清らかな存在である彼女が、自分の傍らでこうして眠っている。
そのことが、未だに信じられない。
自分がここに存在する…夢ではないことを確かめたくて、
敦盛は起こさぬようにそっと望美の頬に触れる。
暖かい。
夢では…ない。
敦盛は、改めてこれが現実であると実感した。
「ん…」
もぞもぞと、眠たそうに望美がゆっくりと瞳を開く。
「敦盛…さん…?」
「すまない…起こしてしまったな」
まだ目を開けきれないまま、ゆっくりを首を横に振った望美は、
ふにゃ…と赤子のような笑みを見せた。
「おはよう、敦盛さん」
望美は、敦盛の手をぎゅっと握り締める。
愛しい人と迎える朝。
ふとかわすこのやりとりが、たまらなく嬉しい。
望美の手を優しく握り返した敦盛は、その額に優しく口付けた。
安らぎを…幸福をくれる女(ひと)。
こんな自分でも、幸福をあげたい。
穏やかな朝をあげたい。
頬をほんのりと赤く染めた望美は、幸せそうに微笑む。
いつまでも、愛しいこの時間を共に迎えよう。
おはよう、神子。
敦盛さんには、幸せであってほしいです。
怨霊だからこそ…敦盛さんがどこかでそれを気にしているからこそ、
いっぱいいっぱい幸せになってほしいなって思います。
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