凛華の如く りんかのごとく 泰衡×望美 / 甘々
傷つき、涙を流し…それでも何度も立ち上がる。
その姿は、まるで花の様だった。
凛と咲く、一輪の花。
太陽の光を浴びて輝き、時に儚く…そして強く佇む野の花。
いつからか…何よりも大切で、かけがえのない存在となっていた。
「あ…これも綺麗!」
子供のように瞳を輝かせながら簪を見つめる望美。
「う〜ん…迷っちゃうなぁ。
泰衡さんはどれがいいと思いますか?」
「…俺にはわからんな」
「え〜…」
軽く口を尖らせ、望美は恨めしそうに泰衡を見上げた。
ころころと変わる表情。
その様子もまた愛おしくて、思わず口元が緩みそうになる。
「…これを貰おう」
肩を落とす望美を尻目に、
泰衡はすいと指を差し店主に告げると、代金を支払う。
「え…? あの…」
驚いたようにきょとんとする望美。
泰衡は簪を手に取ると、望美の柔らかな髪に挿した。
「行くぞ」
「あ…待ってください、泰衡さんっ」
泰衡が手に取ったのは、桜の簪。
思った通り、望美によく似合っている。
「あの…っ」
軽く息を切らせながら泰衡の後を付いて来る望美。
泰衡は不意に足を止めると、望美の方を振り返った。
「…神子殿は、お気に召されなかったか?」
「そんなことないですっ! ただ、その…」
ほんのりと望美の頬に赤みが差す。
「泰衡さんは…どうしてこれを選んだんですか?」
「…俺は、これがいいと思った。それだけだ」
泰衡の返答に一瞬驚いたように目を丸くした望美だったが、
その顔はすぐに満面の笑みへと変わっていった。
「私も、これがいいと思ってました」
「…そう思っていたなら、ご自分で選ばれれば良かったのではないか?」
「でも、泰衡さんに選んで欲しかったんです」
嬉しそうにふわりと微笑むと、
望美は抱きつくように泰衡の腕に自分の腕を回した。
ふわりと、甘い香りが泰衡の鼻をくすぐる。
「…嬉しいです。泰衡さんも同じことを思ってくれてたんだなって…」
いつでも変わらぬ笑顔。
この微笑みが、胸を暖かくする。
大切なものを守れれば、この命など惜しくはないと…そう思っていた。
だが、今は。
この少女の笑みが翳らぬように。
傍で生きていたいと…そう思う。
「大好きです、泰衡さん」
真っ直ぐに泰衡の瞳を見つめ、望美は呟く。
「…知っている」
「これからも、ずっとずっと大好きですから」
ぎゅっと、腕に力が込められる。
腕に感じる温もり。
この温もりを決して失くす事のないように。
泰衡はそっと、腕の中に閉じ込めた。
出来るだけ甘くやってみたのですが…うん?糖度薄め??(いつものパターン)
何となく、この歌って凛華っていうだけあって泰衡を思い出してしまう…(笑)
使命って言うのとはかけ離れてるかもですが、
泰衡にとって望美はホントに花みたいで…輝いてて、失くしたくない、守りたいって思ってくれてると思うのです(妄想)
神子っていう使命を持ってる望美と女王の卵であるアンジェってちょっと共通点があるかなって。
純粋で、清らかで、清らか故に甘いところもあってでもすごく強くて…そんな所にみんな惚れちゃうんじゃないかな(笑)
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