水蜜桃の雫絵     忍人×千尋 / 甘々













「千尋、そろそろ時間だ」


「もう…ですか?」


告げられた言葉に、千尋は表情を曇らせる。


「夕刻まで、と時間は定めておいたはずだが?」


「そうなんですけど…」


でも…と肩を落とす千尋。


その理由が、忍人はよくわかる。


自分も同じ気持ちなのだ。








まだ、二人で過ごしていたい。

こうして、同じ時間を共有したい。



その気持ちはわかっていても、
『臣下』としてその願いを聞くことは出来ない。








「陛下」


忍人は『臣下』として言葉を紡ぐ。


その瞬間暗くなった千尋の瞳に、思わず胸がちくりと痛む。


「………わかりました」


どこか泣き出してしまいそうな瞳で、
けれどそれを見せないようにと笑顔を作る。


王として国を統べるようになってから見せるようになった顔。


それを見る度に、胸が押しつぶされそうなほどに苦しくなる。








恋人として一緒にいたいという気持ち。

臣下として王を窘めなくてはいけないという気持ち。



忍人の中で、二つの気持ちがぶつかり合う。








「…陽が沈むまで、だ」








溜息と共にこぼれた言葉。

二つの気持ちがぶつかり合った結果、
出る答えはいつも同じなのだ。








忍人の言葉を聴いた途端に、千尋の顔がぱっと明るくなる。


「じゃあ、もう少し市を見て回りましょう!」


嬉しそうな笑みを浮かべながら、
子供のように忍人の腕を引っ張る千尋。


こんな笑顔を見てしまったら、厳しいことなど言えなくなってしまう。








甘やかしている…と、最近そう思うことが多くなってきた。

だが、こうして共に過ごし…千尋のいろんな顔を知る度に、
愛おしくなる。

千尋自身も…共に過ごす時間も。

全てが愛おしくてたまらない。








「…全く、君にはかなわない」


「忍人さん?」


ぼそりと呟いた忍人に、千尋は不思議そうな視線を向ける。


「…いや、こちらの話だ」


ふ…と笑みを浮かべ、忍人はそっと千尋の手を握る。








離れたりはしないように。

離したりはしないように。








手に温もりを感じながら、忍人は千尋と肩を並べて歩みを進めた。


















ごめんなさいっっっ!!!(スライディング土下座)
もはやキャラ崩壊。。。。。
でもでも、甘やかす忍人もカワイイと思いますww

「水蜜桃の雫絵」はなかなか難しいですな。。。。。うん。
一応、イメージとしては、エロではなく甘々な感じで書いてみました。















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